なぜビジネスアイディアは課題から始めるべきなのか

ビジネスアイディアを考えるときは「顧客の課題から考える」、「課題の質を高める」といったことがよく言われます。本記事では、新規事業を立案するにあたって、なぜ課題が重要なのか、について考えていきます。

課題とソリューション

まずは、新規事業を立案する立場にあるとして、顧客の課題を考えるとはどういうことなのか、順番に見ていきます。

新規事業を立ち上げる立場としては、新しい製品やサービス(=ソリューション)を提供することによって収益を得ることを目指します。そのため、ソリューションを作ること、及びそれを売ることが必要なプロセスです。

一方、顧客の目線では、ソリューションによって自身の課題が解決すると思うために購買行動につながる、と考えることができます。

つまり、ソリューションが解決する課題と顧客の課題が一致するかが、ソリューションが売れるかどうかの判断基準となります。

このため、多くの人の課題を解決するソリューション、まだ解決されていない課題を解決するソリューションはより多くの売り上げを見込むことができます。

逆に、ソリューションとしてのアイディアが面白くても、実際にそのソリューションで解決できる課題を抱えている人がいなかったり、類似のソリューションで課題が解決される場合にはビジネスとしてはうまくいきません。

このようにビジネスを考える際には、顧客ー課題ーソリューションの関係を適切に捉えて、ソリューションの作りこみや販売を行っていきます。「誰のどんな課題をどのように解決するか」といった形で表現されることもあります。

顧客の課題から考えるとは

では、顧客の課題から考えるとはどういうことでしょうか。

ビジネスアイディアを考える順番としては、まず、顧客セグメント・顧客像を決めます。これは具体的であればあるほどよく、自分のことであったり、自分の身近な人をイメージするのがいいです。そのほか、「地方都市でフルタイムで働いていている30代の既婚女性」のように具体的な属性を考えます。

このような顧客セグメントに対して、その人が抱えている課題はどのようなものがあるかを考えます。誰しも少なからず課題を抱えているものであり、どういった行動をしている際にどのような課題が発生しているのかを分析していきます。この際に、その人の行動・特徴をどれだけ理解できているかが課題抽出に役立ちます。顧客セグメントを自分や身近な人にした方がいい理由も、この掘り下げがより深くできるからであり、遠くの存在を顧客セグメントにしてしまうと、想像上の課題、浅い課題になってしまいがちです。

このように抽出した課題に対して、新しいソリューションで解決することを考えていきますが、どのような課題にとっても全く既存のソリューションがない状況は稀であり、「これで対応はできるが十分でない」といった既存のソリューション(既存の代替品)が存在します。このため、新しいソリューションを考える前に、既存の代替品はどのようなものがあるか、またなぜそれではダメなのかを分析した上で、新しいソリューションでどのような解決を図りたいのかを考えます。

発見した課題が、今まで見過ごされてきたものであったり、解決が難しいものであるほど、それを解決するソリューションの価値は高くなります。そして、それを解決する代わりがない状況であれば、あなたの提供するソリューションが必然的に売れる状況を生み出すことが出来ます。

なぜ、顧客の課題から考えるのか

なぜ、ソリューションから考えることは、うまくいかないのでしょうか。既存リソースの活用などからソリューションを考えて売りたいことはよくありますし、いいソリューションを作って売るという発想がかつては主流でした。

ソリューションから考えた際の難しさは、顧客の課題との一致が図りにくいことです。

顧客⇒課題⇒ソリューションの順で考えた際は、顧客の課題に対して、ソリューションを自由に設計・構築することが出来ます。

一方で、ソリューション⇒課題⇒顧客の順で考えた際はどうでしょうか。考えたソリューションで解決できる課題を挙げることは難しくないと思いますが、その課題を解決したい顧客をどのように探せばいいでしょうか。また、その顧客にとってその課題は本当に重要性が高く、お金を払ってでも解決したいものになっているでしょうか。つまり、ソリューションは自由に作ることが出来るが、顧客は作ることが出来ないため、存在するかも分からない顧客像を探して回る必要があります。また、ピボットのたびに顧客仮説を作り直し、新しい顧客像の相手を探すことによって、営業コストが過大になってしまいます。

新規ビジネスにおいては、新しいソリューションを提供する性質上、顧客が十分にソリューションのことを理解してくれるとは限りません。既に世の中に出回っているソリューションであれば、「こういった良いソリューションを作った」で理解してもらえると思いますが、新規ビジネスでは、顧客との接点は密にしてソリューションの浸透を図り、完成度を高めながら広めていく必要があります。

まとめ

今回は顧客の課題から始める必要性について考えてみました。顧客⇒課題⇒ソリューションの順で考えた際は、設定した顧客セグメントと発見した課題に対して、自由にソリューションを考え作ることが出来、きちんと作り上げればソリューションが課題を解決してくれることは確実です。一方で、ソリューション⇒課題⇒顧客の順で考えた際は、存在するかも分からない顧客を探して回る必要があり、新規ビジネスには不向きです。このため、新しいビジネスを考えたいのであれば、顧客と密に連携をとってその顧客の課題を一緒に考えることが肝要です。

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